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高森明勅
2022.5.6 09:00その他ニュース

「論理」は無力ではない

筋道を立てた意見や見解という意味での広義の「論理」。
それは万能ではないし、無敵でもない。
しかし、現実を動かす上で、決して「無力」ではない。

イメージや雰囲気作り等も勿論、大切だ。
一方、障害を突破し、最後の詰めに導く為には、
精密に構築された「論理」が大きな役割を果たす。
それが、私自身のこれまでの経験も踏まえた実感だ。
その場合、「論理」が現実に影響を及ぼし得る為に、
最低限必要な“要件”とは何か。
私なりに大まかに整理すれば、およそ以下のような諸要件だろう。

①ツジツマが合っている。論理的整合性が担保されている。
→これは当然の前提。

②事実に基づいている。嘘や隠し事が無い。
→これも当たり前。
しかし、故意の嘘や隠し事や論外だが、
慎重かつ丁寧な事実確認を怠らないように要注意(自戒も込めて)。

③広く受け入れられるルールや価値観を踏まえている。
特殊な信念や思い込み、独断・偏見をなるべく排する。
→これが意外と難しい。
自分で気付かないうちに、スルリと思い込みや独断が忍び込む。

④共感を呼ぶことができる。
魅力的である。
その為には理性・理屈一辺倒ではなく、人間としての心情や情念も、
しっかり織り込まれている必要がある。
→難しいが取り分け重要。

⑤平易・明快である。
→当然の要件ながら、自己の見解を客観視して整理・吟味し、
考えをしっかり深めてこそ、到達できる。
そのプロセスを経ない平易さは、単なる浅薄な思い付きにとどまる。
逆に、一定の理解力があるか人から見ても、難解そうでストンと
腑に落ちない言い分は、未整理でよく考え抜かれていないか、
誤魔化しを含む(又はその両方の)場合が多い。

いつ頃からか、「論破する」ということが過大に
評価されるようになった気がする。
勿論、それが求められる場面もあるだろう。
しかし、現実を“前に”動かすのは、魅力を備え、
人々に希望を与える「論理の力」ではあるまいか。

追記

5月3日、ゴー宣道場を久しぶりに大阪で開催。
熱気溢れる会になった。
ゲストの宇野常寛氏の話術が抜群。
小林よしのり氏の熱弁で危機の深刻さが共有されたのではないか。
倉持麟太郎氏は親切なレジュメを用意して、最新の知見をもとに、
憲法に「緊急事態条項」が何故必要か、分かりやすく説得力のある
解説をしてくれた。

当日、ボランティアで設営に当たって下さった皆さんに、感謝。
懇親会、二次会も楽しかった。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

次回の開催予定

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15:00~17:30

テーマ: 「歌謡曲を通して故郷・福岡を語る」LIVE in福岡

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